神奈川県厚木市の日本人の男が2006年10月、ペルー国籍の男女の子供を偽装認知した疑いがあるとして、同県警が1日、3人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕していたことが分かった。  今年1月施行の改正国籍法で、出生後に日本人の父母の認知があれば、結婚していなくても国籍が取得できるよう要件が緩和されたため、3人は偽装認知した子供の国籍を取得した。法務省によると、出生後の偽装認知による国籍の不正取得が明らかになったのは初めて。  逮捕されたのは、厚木市山際、工員正木成一容疑者(30)と、いずれもペルー国籍の厚木市関口、工員サオナ・ロハス・ジェシカ・アレハンドラ容疑者(33)、同県大和市西鶴間、無職ヤマグチ・レイエス・ニール・エステバン被告(40)(入管難民法違反で起訴)。  捜査関係者によると、3人は、内縁関係だったジェシカ容疑者とニール被告の間に05年12月に生まれた長男(3)について、06年10月、知人の正木容疑者が認知する虚偽の認知届を厚木市役所に提出した疑い。県警はDNA鑑定で正木容疑者の子でないと特定した。ジェシカ容疑者は当時、不法滞在だったが、認知が認められたことで同月、在留資格を得た。  その後、最高裁が08年6月、母が外国人で、日本人の父から生後認知された非嫡出子(婚外子)に国籍を認めない国籍法を違憲と判断。3人は同年11月11日、偽装認知した子供の国籍取得を申請し、判決を受けて同法が改正された直後の今年1月9日に国籍を不正に取得していた。  ニール被告は「(ジェシカ容疑者の)在留資格を得るため、偽装認知をすることにし、(自分たちが正木容疑者に)頼んだ」と容疑を認め、国籍取得についても「法律が変わって子供の国籍が取れるようになったと弁護士から聞いたので申請した」と供述。正木、ジェシカ両容疑者は「2人の子供だと思っていた」と否認している。 (2009年9月3日14時38分 読売新聞)